スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

<物語>シリーズ セカンドシーズン 第15話「第乱話 なでこメドゥーサ其ノ肆」

或いは妄想オチについての講義。

長かった。ここまでの待たされた三週間、本当に長かった。


蛇の怪異なんて……最初からいなかったッ!千石の心が見ている「幻覚」だッ!と、少々分かりにくいジョジョネタから始めてみました。そういうわけで、蛇の怪異に絡まれてあれやこれやと苦心した、という千石の言葉は全て虚構でした。千石は幻覚に捕らわれて、怪異があると思い込み、勝手に騒いでいただけでした、というオチ。羽川が現実から目を逸らしているというのは、ストレスや嫉妬などを齎す人生の厄介ごとに対する対処法、という非常に精神論的話であった。対して千石は全く文字通りの意味で現実が正しく見えていなかったわけだ。

済むかー。本当にこれを鵜呑みにして、意外な展開だの、驚愕のトリックだの言っている人がいたらその人の頭はいっそ羨ましくなるほど幸せな構造だ。私はこのような、視点人物、語り部の認識能力に重大な欠陥があったとして、そこまでの描写や設定を無かったことにする展開や結末のつけ方を、妄想オチと呼んでいる。妄想オチは夢オチ以上に作家としてやってはいけない、唾棄すべき行為であると私は考える。

夢オチはそこまでの話を無かったことにすることが嫌われる。しかしだ。夢オチならば、夢から覚めた後の世界観を作りこみ、本当に確かなものを見せることは出来るし、場合によってはそれっぽいオチをつけることも出来るだろう。少なくとも四コマ漫画みたいに時間の余裕が無いのでなければ。それに、夢だったと言って話を投げ出しても、その世界設定などが作りこまれていれば十分見るべきものだとは言える。作中人物としても、その夢から何かを教訓を得ようとする、などと持っていくことも可能だろう。

だが、妄想オチは構造上、そのようなことは絶対にありえない。現実を正しく捉えられていなかった、となれば妄想オチだと指摘された部分の他にも妄想があったとしても全く不思議ではない。逆に指摘の内容全てが本当に妄想だったという保証も無い。詰まるところ妄想オチとは、妄想オチであることを認めた瞬間妄想オチであること即ち現実が正しく見えないほど重大な妄想を抱いた人がいたということ以外確かなことが何も無くなる、そういうものなのだ。これでは作品としての体をなしていない。作者としては意外な展開を書いたつもりなのかもしれませんが、それ以前の問題として作品になっていません。

西尾維新の小説はかなり読み易いのですがそれでも(特に『物語』シリーズは)字数が多いので読み終わるのに二時間ぐらいかかるでしょう。このテレビアニメも三十分枠四回かけたので二時間近く使っています。また(この物語ではなく)一般的劇場映画ならば二時間程度使います。テレビ番組でなければ、そのために金を払い二時間ほどの時間を使って、事実上内容は無い。これを許せるということは、菩薩のごとき広い心をもっているか、とんでもない大馬鹿野郎かのどっちかだ。いずれにせよ私ではとても真似できない。


ここまでが妄想オチの持つ基本的性質です。この『囮』における千石の問題はより一層深刻です。よく見直せば彼女はこのエピソードにおいて元々かなり信用できない語り部として描かれている。最初に話し始めるやいなや、話は千年前に遡る、遡り過ぎました、などと言ってるぐらいだ。そんな人が語っている物語の描写を何故信用できるのか。見れば見るほど説得力が無い。

私がここまで散々、オチを知れば全てが空しい限りとか、言えることは何もないと言っていたのは以上のような理由によります。どんなに尤もらしい話も実際あったと言える根拠はまるで無い。真面目に考えるほど馬鹿を見る。極論、殺し合いは当然、千石が怪異になったなんてのも嘘、そもそも最初から何も事件など起きていないというのを否定できない。


私は『物語』シリーズの登場人物には殆ど好悪の差が無く、各人がどういう運命を辿ったかによって作品の評価を上下するようなことはほぼありません。そして、そんなこととは全く無関係に『囮』を評価することは出来ない。妄想オチを使ったことによって作品の体をなしていない以上、作品として評価できるわけが無い。
スポンサーサイト

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

物語シリーズ セカンドシーズン 第15話 感想

 物語シリーズ セカンドシーズン  第15話 なでこメドゥーサ 其ノ肆 感想      次のページへ

物語シリーズセカンドシーズン~第15話「囮...

 西尾維新による「化物語」シリーズ、セカンドシーズンの15話目 高校生阿良々木暦(あららぎこよみ)の後輩、千石撫子の物語「囮物語(おとりものがたり)」 千石撫子の前にあら...

<物語>シリーズ セカンドシーズン 第15話「囮物語 なでこメドゥーサ其ノ肆」

第15話「囮物語 なでこメドゥーサ其ノ肆」 お札を手にした撫子を見て、刺激しないように説得を試みる暦。 暦が持っている分には害は無いのでしょうね。しかし今の撫子には危険でしかない。 可哀相で可愛い被害者でい続けせてやるのが情けじゃろ。 可愛いだけのガキなんぞ、我が身が可愛いだけのガキなんぞ、 見捨ててやればよいのじゃよ。 暦の思惑とは真逆に撫子を煽る忍...

物語シリーズ セカンドシーズン 第15話「囮物語 なでこメドゥーサ其ノ肆」 感想

どうしてこうなった・・・? クチナワのご神体を見つけた撫子。 しかし、タイミング悪く暦お兄ちゃんに見つかってしまう。

物語シリーズセカンドシーズン 第15話 なでこメドゥーサ其ノ肆

撫子に御神体を手放すように説得する暦ですが、忍はぶん殴って奪えば良いと。 追い詰められた撫子は御神体を口の中へ。 おぞましい怪物へと変貌する撫子 ...

物語シリーズセカンドシーズン 第15話「なでこメドゥーサ 其ノ肆」

猫物語(白) 第一巻/つばさタイガー(上)(完全生産限定版) [Blu-ray]『じゃあ、殺そうか暦お兄ちゃんを』 原作:西尾維新 キャラクター原案:VOFAN 製作会社:シャフト 監督:新房昭之 阿良々木暦:神谷浩史    羽川 翼:堀江由衣   戦場ヶ原 ひたぎ:斎藤千和 忍野 忍:坂本真綾   八九寺 真宵:加藤英美里   神原 駿河:沢城みゆき 千石 撫子:花澤...

『<物語>シリーズ セカンドシーズン』第十五話 「囮物語」なでこメドゥーサ其ノ肆

暦『お前はいつもそんな風に僕と話すとき迷惑そうにするんだよな。』 それは違うよ。迷惑そうにしてるんじゃなくて大好きな暦お兄ちゃんと話せてドギマギしてるんだって。話したいことたくさんあるのに、いざ会ってみると何を話したらいいか分からないで戸惑っているんだって。どうして、そういう撫子の気持ちを分かってあげられないんだよ。忍『こんな分からず屋で甘えん坊のガキ、気遣ってやる必要ないわい。』 ...

物語シリーズ セカンドシーズン 第15話「囮物語 なでこメドゥーサ 其ノ肆

クチナワのご神体を見つけた撫子。 しかし、そこに暦が現れて、ご神体を手放すよう説得するが… ようやく「囮物語」の冒頭の話に繋がる展開。 撫子が作りだした「囮」の物語は、ここでひとまず完結? 続きは、別エピソードを挟んでまたって本当ですか?(^^;  

<物語>シリーズ セカンドシーズン 第15話 『囮物語なでこメドゥーサ 其ノ肆』 戦場ヶ原は最後まで出ないのかと思った。

遂に対面…って電話越しだけど。私の男、まだ生きてる?のっけから挑戦的な言葉を投げつけてくれます。忍といい、阿良々木の周りには煽るのが好きな女性が多いですね。お陰で阿良々木の説得が全く効果ありません。まあ撫子にしてみりゃ聞く気も無かったかもしれませんが。 警告を無視して御札を飲み込み、自ら蛇のご神体を取り込んで神となった撫子。因みにこの札臥煙伊豆湖なる人物から阿良々木に託されたら...

物語シリーズ セカンドシーズン 第15話 「なでこメドゥーサ其ノ肆」 感想

御札を食べるってどういうことだろうか? シュシュに御札をかざすこと? って、最初思っていました。 猫物語(白) 第一巻/つばさタイガー(上)(完全生産限定版) [Blu-ray](2013/10/23)神谷浩史、斎藤千和 他商品詳細を見る

ガンプラ趣味の扱い(ガンダムビルドファイターズとかのんのんびよりとか)

【シリーズ セカンドシーズン 第15話】神になった少女の巻。撫子さんとのバトルがエピソード冒頭に繋がるにしても、そこから阿良々木くんらの巻き返しがあるかと思ったのですが、 ...

冬に薄い本を大量生産させろよ!!(サムライフラメンコとか革命機ヴァルヴレイヴとか)

【東京レイヴンズ 第1話(新番組)】人気ラノベのアニメ化作品。原作は未読。陰陽師もの…でいいのかな?OPEDの映像なんかからはなざーさんキャラがヒロインなんだろうけど、テン ...

◎〈物語〉シリーズセカンドシーズン#15『な...

_僕は何もしない、冷静になれ、それを床に置くんだナデコ:どうして_それを置くんだ、お札を、危険なものなんだ、まだ引き返せるでもどうこうしないといけないんだよ、償いだから...

コメントの投稿

非公開コメント

No title

このシリーズのアニメを割りと楽しく視聴しております。
管理人様の「囮物語」に対する感想についてとやかく申し上げるつもりはありません。

私はこの物語シリーズ(原作)のなかで、「囮物語」については比較的楽しめました。
「傾物語」のような適当なタイムスリップ手法を用いた強引な超展開より、すっと好感触を持ちました。
この作品でこれまで暦視点のために、読み取れなかった千石撫子の持つ内面心理の異常性が明らかとなり、読後感は結構スッキリしたものです。
最も結末はお預けだったので、「囮物語」で神様になった千石撫子がどうなるのか気になり、「恋物語」の発刊を相当待たされた気分ではありました。
「恋物語」では結局のところ、「囮物語」最後の千石撫子による妄想的予告のようにはならなかったわけで、そちらの落ちは些か肩透かし感がありましたが、
千石撫子の問題解決に読者の意表をつく意外な人物による活躍(?)には大変驚かされ、西尾維新やるなと感心しました。

「囮物語」のことでひとつ思い出したので追記します。
作者はこの作品を執筆するにあたり、「ジキル博士とハイド氏」を意識していたようです。
このアニメ放送直前に発表された、「なでこミラー」(9/21読売新聞掲載)を読んでそう思いました。

No title

いや、むしろよくある叙述トリックの話でしょ。
あなたの言う妄想オチも叙述トリックで一人称で語らせることによりそれがあたかも事実である
ように読者に錯覚させるトリックでよくあるもの。
あなたが言うような妄想オチ=事実が本当かどうか関係なくどんな妄想もありではありませんよ。
そもそもなぜ撫子というキャラに敢えて一人称で語らせてるかという時点であやふやな話になる
という伏線がなされてもいるのに。

管理人さんはあまり本とか読まないのかな?いや、最近だとtvでも世にも奇妙な話で香取信吾
がやった水を預かる?話でも妄想オチでしたね。
映画だと名作と言われるユージュアルサスペクツも一人称語りの妄想オチでこれとよく似てます
ね。管理人さんはこれらも否定するのかな?

No title

正統派ミステリーの探偵役でさえ、見間違いや思い込みによる誤認が許されてるんですけどね。
ましてや管理人さんが自分で言ってますよね。 撫子は信用できない語り部だと最初に描写されてるって。 
信用できない語り部による、どこに嘘が混じってるかわからない物語、それが囮物語の本質であり、楽しむべき部分だったと思います。
プロフィール

11番の日記

Author:11番の日記
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
FC2カウンター
フリーエリア
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。