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刀語 第4話「薄刀・針」

そして最も恐るべき者。

ラスボスよりもラスボスめいた人、鑢七実出陣。


今回のエピソードは一言で纏めると、エイプリルフール企画です。元々原作小説が一ヶ月に一冊ずつ十二ヶ月連続で出るという企画で、この話は四月一日頃に出て、エイプリルフールだから煽りと内容とが全く違うのだった、という予定だったのだそうである。リアルタイムで追いかけていないと全く通じないネタである。実際私も完結後に集め始めたので、なんなんだこの内容は、としか思えなかった。アニメ版第4話の本放送が流れた頃説明されてようやく理解できた。

このアニメ版本放送にしても、四月一日に放送された局は一つも無くDVDなどのソフト発売は当然何ヶ月か後になっているし、今回の再放送も四月を過ぎてしまったしで、やはり自力でエイプリルフールだと気付ける人間は少ないと思われる。全くひどい一発ネタであった。


というわけで本編。七花対錆白兵の戦いと思わせて、ちょうどその頃展開された、この作品真の最強たる天才鑢七実と彼女を七花に対する人質にしようと攫いに来た真庭虫組との闘いを描く話である。この内容についてはあまり問題ない。原作からの変化はいずれも些細なことで、良くも悪くも特筆すべき点はあまり無い。殆ど人物が喋り続けるだけで、アニメーションとしてつまらないシーンがやや多いぐらいか。

そんなわけでひたすら七実の圧倒的天才性や、死亡フラグを立て続ける真庭虫組の姿を楽しみましょう。一切の修行をせず生まれながらにして誰よりも強く、見ただけで他人のあらゆる技術をコピーでき、常にありとあらゆる病に蝕まれ病弱だがそれゆえに毒が効かない。実際ラスボスめいた恐ろしい性能の七実。これが死亡フラグだ、という良い見本を見せてくれる虫組の皆さん。どちらも全く見逃せない。


対して、七花対錆白兵だが、これは出来が悪い。元々原作からして、冒頭に前日夜間の会話の後はエピローグで既に戦いが終わった後で戦闘は全てわざとらしい説明台詞という構成なのだが、その部分の映像がひたすら菓子を食いながら話すのを映すだけって馬鹿か。予告ではせっかく気合の入った戦闘シーンが作ったぐらいなのだから、普通に説明台詞に合うようなシーンを描けば良いだろうが。錆白兵戦はまともに描かないというネタだから、というのは残念ながら全く言い訳にならない。それこそまさしく、小説とアニメとというメディアの違いを理解していない愚かしい態度だ。

小説を読むときは、まともな思考能力のある人間ならば、そこで展開されている光景を頭の中で思い描いているものだ。小説の映像化とはその頭の中で描かれることを具体的な映像にすることだろう。そしてこの場面で読者は、七花ととがめとが話し合っていることそのものではなく、その内容即ち錆白兵との戦いをこそ想像するだろう。ならば錆白兵との戦闘を具体的に描くことは全く問題ない。それをあんなシーンにしてしまうあたりが、この作品のセンスの無いところだ。


変体刀紹介コーナー
薄刀・針

「軽さ」や「薄さ」を主題に据えて作られた、最も弱い刀。一応第1話から錆白兵共々話題に出ていたが詳しく語られるのはここが最初であり、いよいよ変体刀の不条理さが本格的になってくる。その性質たるや、筋の通らない攻撃をすればすぐに罅割れる、など聞いているだけで突込みどころ満載である。


登場人物紹介コーナー
・真庭蟷螂

真庭忍軍十二頭領の一人。通称、首狩りの蟷螂。真庭虫組のリーダー格。能力は、自分の爪を伸ばして武器にする忍法爪合わせ。他より結束が強いとされる虫組は当然としてそれ以外にも一目置かれる実力者だったらしいが、相手が悪すぎて実力を殆ど出せずに死んだかわいそうな人。というか、本当に相手が悪すぎてむしろそんなに強かったのか疑わしくなってしまう。芸風も地味だし。


・真庭蝶々

真庭忍軍十二頭領の一人。通称、無重の蝶々。重さがなくなったかのように振舞える特殊な歩法、忍法足軽と、実庭拳法と呼ばれる特殊な体術と二つの使い手。七実にあっけなく敗れたが、結果的に虫組の中では一番勝負らしいものになった気がしないでもない。彼自身はザコ同然の扱いだったが、忍法足軽は七実に習得されたことで今後も活躍することになる。


・真庭蜜蜂

真庭忍軍十二頭領の一人。通称、棘々の蜜蜂。撒菱を飛び道具にする忍法撒菱指弾が持ち味。この作品は飛び道具が少ないので、飛び道具の代表格としてしばしば語られる。最新の飛び道具が火縄銃の世界で、撃っても派手な音がせず、その気になれば致死性の毒を塗ったりも出来、おまけに百発百中で当てられる技量、と設定だけは凄い筈だからである。蝶々同様本人はザコ扱い。


・錆白兵

日本最強の剣士として有名な男。薄刀・針の所有者。戦闘が完全に無視されたため実感が持てないが、七実に敵わないだけで、他の連中に比べれば別格に強い最強クラスの人、らしい。話が進めば進むほど彼の「最強」はどんどん疑わしくなるのだが。死ぬ前に、虚刀流が四季崎記紀の遺品とか、記紀の血統とか、いかにも思わせぶりなことを色々喋ったらしい。わりと冗談抜きに彼の一番重要なところはそこだと思う。
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