大海原の小さな光

美魚編以上に非現実的なあまりにもわけが判らない、こういう言葉はあまり使いたくないが、超展開としか言いようがないお話であった。でも面白かったんで許す。もとよりこの作品には、ミステリーのような与えられた情報からきれいに話を展開し、畳む面白さは期待していない。


先ず、初っ端からして冷静に考えるとつっこみどころ満載である。共和国は反政府組織が暴れるようになり、クドの祖父はこんなときのための隠れ家を持っていて、クドの母は事故の直前に異変を察して逃げており、と前回まで大して伏線の無いようなことばっかりだ。だが、この程度のことなら話を面白くするための起伏ということで済ませられる。母にあわせる顔が無いとばかり少し場を離れたばかりに、敵に捕まるあたりの流れは問題なく面白い。

その頃そんなこととも知らず、クドならきっと帰ってくると信じるちリトルバスターズの面々という図も中々良いですね。祈りの言葉といいなんといい、明らかに万事解決を期待させる風でありながら、でもそんなこと絶対に無理だろと思ってしまう、そんな状況が実に上手い。

しかしながらここから問題の解決に入ってこの話は一気にわけが分からなくなる。理樹とクドとの間で互いの意思が相手に伝わった、そこまでならまだギリギリ許せる。そこで理樹が持ってた筈の歯車がクドの手元に現れたというのに至ってもう全く意味が分からない。

これの何がすごいのかって、作中人物にとってもまるで意味が分かってなさそうなところ。美魚編の、架空の友達か影かどうもハッキリしないが、とにかくそういうものが独立した人格になり、オリジナルが文字通りの意味で影が薄くなるってのは、少なくともそれを観測した作中人物にとっては確かな現実であり何の不思議も抱いていなかった。そういうこともあの世界にはあるのだろうと、なんとなく思えた。ところが今回はそういうのがまるで無い。作中人物も不可解だと思っている。なんなんだ、この展開は。


ストーリーとしては、クドの母親が知らず自分の言葉でクドを縛っていた、クドは自分らしい生き方をすればいいのだとそんな意味をのことを語る終わり方がきれいでした。最後には無事に帰ってきたことといい、その際のリトルバスターズとのやり取りといい、最後まで逆のことを言う演出も上手い。

そのあたりからやたら長々と挿入歌がかかってるな、と思ったらそのままEDになっていた。こういうのも好きですよ。


次回はまた世界の秘密か。