大海原の小さな光

メイド姉の演説によって民衆の意識が変わり、南部が揺れている頃青年商人が一つの計略を動かし始めていた。溢れんばかりに穀物を買い捲る、むしろ金貨を売っていると言えるような状態にする。そうすることの意味について青年商人自ら長広舌を振るってましたが、正直よく分かりません。穀物がやたらと手に入りにくい状況を引き起こすしたいのは明白だがそこか先が不明瞭だ。

風が吹けば桶屋が儲かるとばかりに、中央は足りない物を求めて南部に向かい、それに南部が関税をかけて対応した結果、戦争が起こったが、一体何をどこまで想定した計画だったのやら。


メイド妹の何気ない一言がきっかけとなって、南部は中央を離れた新しい専用の教会に作ることを思いついた。さしずめ、カトリックに対するプロテスタント、或いは英国の国教みたいなものか。ただ、言ってはなんだが、この展開は些か発想が素朴に過ぎる。宗教を単なる物事の考え方の一種としてではなく、人を支配する巨大な組織として捉えることで、幼稚な考えではないところを見せたようでいてその実別のところで考え方が幼稚だ。

たとえそれが何であれ、実際に生きている人間には本気で信仰を持っている者や、或いは信仰を持とうとしている者もいるものだ。富や地位を独占しようとしている組織の幹部クラスでなくても、そういう本当に真面目に宗教に生きてる人にとって自分たちを揺るがしかねない新しいものはあまり愉快ではないはずだ。そういう発想が少し欠けている。


魔王の現在の様子はいまだ不明。ここで唐突に回想。まだ魔王が魔王になる前、というか直前のとき、メイド長と話していた。魔王を継ぐことの意味、そしていずれ自分を倒しに現れる勇者のこと。勇者が生まれたときからその様子を伺っていたという並々ならぬストーカーぶり。魔王の勇者に対する一方的愛着がここに来てようやく触れられたわけだ。それは良いのだが、このシーン、メイド長の眼鏡が妙にダサい。というか眼鏡に限らず二人とも格好がなんかダサい。つっこみ待ちなのか。