大海原の小さな光

小毬は失われた記憶を思い出した。兄拓也が死んだこと、その拓也の言葉などがあって自分の記憶を封じていたことなど。しかしその後、理樹を兄だと思い込むという新たな異変が。ついに小毬の抱える問題が明らかになり、解決へ。うん、狙いすぎな部分もあるが単純に良かったと思いますよ。


小毬は兄の死が理由となり、兄のことを忘れた。それ以来何かの死を原因として兄のことを思い出しては混乱し、そしてまた元通りに忘れていく、を繰り返すようになったのだとか。さながら件の絵本のように。このことは現実から目を逸らしてるだけのことであり、強引に現実と向き合わせようとして理樹は動くことになる。この流れで件の絵本が活きてくるというのが狙いすぎと思いつつも上手い。

本当に作中作の絵本と小毬とはわざとらしいぐらいシンクロしてる。過去を思い出しただけで終わらにならないのかと思ったが、思い出して忘れる絵本のように繰り返しになってるからなんですね。そして最後には理樹がもう一声絵本にオチを付けたしそれを元に小毬を何とかするわけだが、しかしここまで来るとむしろ立場が入れ替わっている。偶々現実と絵本の内容とが似てただけの筈が、絵本を現実に合わせている。だがそれでありながら、周りには仲間がいた、てのはそこまでの展開からそれほど不自然な展開とも思えない。ここ、本当に良いなと思う。


それにしても神北拓也という人物だけは最後までよく分からなかった。自分が余命幾許も無いことも、そんな自分に小毬が懐いてることも知っていて、『マッチ売りの少女』なんて読んでたり、一見不気味とも思える絵本を自作したり。

小次郎老人は拓也よりよっぽどハッキリしてる。ただ、この人結局どういう繋がりだったの。祖父なのか?意味ありげに出てきて、要所要所で重要な情報を話してもくれたが、結局解説者の域を出なかったなぁ。


次回は、また新メンバー追加かな。