BLOOD-C The Last Dark
良いCLAMPであった。
思ってたのに違わぬ、どころかそれ以上の面白さで心底満足。以下、ネタバレしかないぐらいの勢い。
七原文人への復讐のため東京に来た小夜は、サーラットなる連中と協力することになり、という感じで始まるのだがこれ以上のストーリーはオチ以外グダグダ言うものではない。小夜が日本刀を振り回して化物と戦うという『BLOOD』シリーズのコンセプトに忠実に、そこへCLAMPお得意のどんでん返しが付いた、そんな一大娯楽編である。
最初、東京に現れた小夜の性格が以前と違うように思えたが、冷静に考えたらTV版の性格は文人が記憶操作のついでに捏造したものだったな。記憶が戻った後となら大体同じだ。ただ、人との間に壁を作るようになったのは確かで、それがサーラットとかかわる中で丸くなる、という普通のストーリーがある。こういうところを見るとTVがいかにわざと変な話を作ってたかがよく分かる。
人を殺せないという縛りがあるが、これについての詳しい説明は最後まで無い。そして、そんなものがあるなら文人への復讐なんて出来ないのではとも思ったが、その解決はイマイチ納得が行かなかった。護る、護る、と言いながら護れないことをよくネタにされるが、今回は味方には被害者が出ません。
サーラットの中でも特に目立っている柊真奈という少女。人との間に壁を作って、恐ろしく無愛想な状態の小夜にしつこく付いて回る、怪しすぎる人だが特に裏は無い。怪し過ぎて怪しくない、ミステリーの基本である。小夜の人付き合いを徐々に変えていく、ある意味ヒロインポジション。
メガネをかけてるのがTV版の小夜と似てるな、と思ったら、パンフレットによるとわざとらしい。それだけだとキャラクターが被るのでショートカットにした、とも書いてあるが正直あまり変わらない気がする。
さて、怪しすぎる人の陰に隠れた本当に裏がある人、殯蔵人。サーラットの支援者で文人に恨みがある、とのことだったが実は文人と共謀している。これはやられた。まさかコーヒーが本当に伏線になっていただなんて。薬が回るのが遅すぎるというのは彼に全面的に同意する。効果が出るの遅すぎて思わず疑いをやめてしまった。
定番の騙し役だが、文人のことが気に入らなかったらしくこれもアッサリ裏切って殺そうとしたあたり、本当にその場その場の私欲でしか動いてなかったようで、文人に比べると小物感が。事実、冷静に考えると彼が騙していたことはストーリー展開に殆ど関係無い。ストーリーに影響が無いほどの小物。
そしてラスボス、七原文人。世界を自由に出来るような金と力とで、自分に関係のある無しを問わず大量の人間を巻き込んでおきながら、その目的はただ小夜に対するこだわりだった、というのがこの作品の真のどんでん返しである。他のこと、たとえば、殯の騙しなんかはわりとどうでもいい。
もっともこのように、主人公が倒すべき相手であり、作品全体で危険人物だと語られてきたものが、最終的に主人公のためとか、意外なことを語りだすのはいかにもCLAMPらしい倒錯である。そして、私はCLAMP作品のそんなところが大好きです。久しぶりにそういうのを見られて、個人的にはとてもよかった。
敵対勢力だと思われたサーラットが、殯が騙していたと明らかになったことで、結局文人に踊らされていたに過ぎなくなったことになり黒幕としてはますます拍車が掛かった。攻めるも護るも自作自演、全てが一人遊びって感じ。
四月一日君尋。まさかの、というほどでも無い気がするけど、ゲスト出演。本編中では一度も名乗らないがキャストでは結構な位置に堂々とこの名前で出ており、誰だお前、となりかねない。名前以外のことも、この映画単体では、全然語られない謎に包まれた人である。とりあえず、小夜の刀の対価ってどうなったんだろう。
全体的には面白かったです。TV版の続きだが見てなくてもギリギリ通じるぐらいのバランスで、それはいくつかあるCLAMPネタも同様。知らなければ知らないで問題ない。最後意外は極端に変なところの無いストーリーである。出てくる古きものがどれもこれも途方も無い異形で、よくこんなものを考えたと感心する。それらとのアクションシーンは基本的に見応えがある。そういうエンターテインメント性の高い作品でした。
思ってたのに違わぬ、どころかそれ以上の面白さで心底満足。以下、ネタバレしかないぐらいの勢い。
七原文人への復讐のため東京に来た小夜は、サーラットなる連中と協力することになり、という感じで始まるのだがこれ以上のストーリーはオチ以外グダグダ言うものではない。小夜が日本刀を振り回して化物と戦うという『BLOOD』シリーズのコンセプトに忠実に、そこへCLAMPお得意のどんでん返しが付いた、そんな一大娯楽編である。
最初、東京に現れた小夜の性格が以前と違うように思えたが、冷静に考えたらTV版の性格は文人が記憶操作のついでに捏造したものだったな。記憶が戻った後となら大体同じだ。ただ、人との間に壁を作るようになったのは確かで、それがサーラットとかかわる中で丸くなる、という普通のストーリーがある。こういうところを見るとTVがいかにわざと変な話を作ってたかがよく分かる。
人を殺せないという縛りがあるが、これについての詳しい説明は最後まで無い。そして、そんなものがあるなら文人への復讐なんて出来ないのではとも思ったが、その解決はイマイチ納得が行かなかった。護る、護る、と言いながら護れないことをよくネタにされるが、今回は味方には被害者が出ません。
サーラットの中でも特に目立っている柊真奈という少女。人との間に壁を作って、恐ろしく無愛想な状態の小夜にしつこく付いて回る、怪しすぎる人だが特に裏は無い。怪し過ぎて怪しくない、ミステリーの基本である。小夜の人付き合いを徐々に変えていく、ある意味ヒロインポジション。
メガネをかけてるのがTV版の小夜と似てるな、と思ったら、パンフレットによるとわざとらしい。それだけだとキャラクターが被るのでショートカットにした、とも書いてあるが正直あまり変わらない気がする。
さて、怪しすぎる人の陰に隠れた本当に裏がある人、殯蔵人。サーラットの支援者で文人に恨みがある、とのことだったが実は文人と共謀している。これはやられた。まさかコーヒーが本当に伏線になっていただなんて。薬が回るのが遅すぎるというのは彼に全面的に同意する。効果が出るの遅すぎて思わず疑いをやめてしまった。
定番の騙し役だが、文人のことが気に入らなかったらしくこれもアッサリ裏切って殺そうとしたあたり、本当にその場その場の私欲でしか動いてなかったようで、文人に比べると小物感が。事実、冷静に考えると彼が騙していたことはストーリー展開に殆ど関係無い。ストーリーに影響が無いほどの小物。
そしてラスボス、七原文人。世界を自由に出来るような金と力とで、自分に関係のある無しを問わず大量の人間を巻き込んでおきながら、その目的はただ小夜に対するこだわりだった、というのがこの作品の真のどんでん返しである。他のこと、たとえば、殯の騙しなんかはわりとどうでもいい。
もっともこのように、主人公が倒すべき相手であり、作品全体で危険人物だと語られてきたものが、最終的に主人公のためとか、意外なことを語りだすのはいかにもCLAMPらしい倒錯である。そして、私はCLAMP作品のそんなところが大好きです。久しぶりにそういうのを見られて、個人的にはとてもよかった。
敵対勢力だと思われたサーラットが、殯が騙していたと明らかになったことで、結局文人に踊らされていたに過ぎなくなったことになり黒幕としてはますます拍車が掛かった。攻めるも護るも自作自演、全てが一人遊びって感じ。
四月一日君尋。まさかの、というほどでも無い気がするけど、ゲスト出演。本編中では一度も名乗らないがキャストでは結構な位置に堂々とこの名前で出ており、誰だお前、となりかねない。名前以外のことも、この映画単体では、全然語られない謎に包まれた人である。とりあえず、小夜の刀の対価ってどうなったんだろう。
全体的には面白かったです。TV版の続きだが見てなくてもギリギリ通じるぐらいのバランスで、それはいくつかあるCLAMPネタも同様。知らなければ知らないで問題ない。最後意外は極端に変なところの無いストーリーである。出てくる古きものがどれもこれも途方も無い異形で、よくこんなものを考えたと感心する。それらとのアクションシーンは基本的に見応えがある。そういうエンターテインメント性の高い作品でした。
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