大海原の小さな光

我妻銀行の金庫室に閉じこもる１１th、西島を見殺しにされたことなど様々な感情から生じた雪輝とみねねとの戦い、暗躍がうざったい秋瀬或、結局また生き延びて利用されつつある８th、そして謎の深まる由乃。盛り上がる１１th戦決着の一回。私はここが見たくて今までこの番組を見てきた、と言っても良いぐらいこの辺が楽しみでした。


雪輝とみねねとの戦い。目的のために今までやりたい放題やっておきながら本当は誰も殺したくなかったと言う雪輝と、過去の幻影に悩まされるみねねと。双方ともかなりグダグダな戦いである。とはいえ、みねねが幻影をみて止まった隙を雪輝は撃った。直接殺そうとしているあたり、雪輝は言葉ほどの弱者ではない。

みねねの最期は、金庫室の扉を壊すべく最後に残った心音爆弾を使う自爆。あぁ、良いキャラだった。決して善人という意味ではなく、良い味を出してる人だったな、てことですよ。


金庫に閉じこもった１１th。扉には生体認証があり経営者である我妻家の者にしか開けられないが、我妻家は既に死んでいる。故に１１thは勝利を確信したが、そこでありえないものを見た。そして、１１thジョンバックスは死んだ。

この流れは実に１１thの最期に相応しい。今まで市長としても日記所有者としても常に人の上に立ち、多量の情報を手に入れることで、状況を適切に知り操ってきた。その彼が最後の最後に全く理解できない現実を見ながら死んでいく。非常に皮肉が利いている。

最後に、１１thは最初から最後まで同情の余地が一切無いというのが良いですね。作者が意図して徹頭徹尾悪役、憎まれ役ということで一貫しており、そして実際その挙動に腹立つというのはかなり良く出来たキャラクターであろう。私が彼を大好きなのはそんなところである。


また、実力と無関係に生き延びた８th。そしてまた、今度は秋瀬或に、利用される。もう、どういうリアクションを示せばいいのかよく分からない。もう、完全に話の都合の権化だな、コイツ。


相変わらずの秋瀬或。８th殺害を止められたのはわりと本気でストレスが溜まった。前回まで居なかったくせにいつの間に現れやがった。デウスの前に現れ、神になれば本当に全てチャラにできるのか、という疑問を投げかけたが、正直な話どうでもいいわ。私としては、このゲーム(物語)がどういう決着を迎えるのか、ただただそれが見たいのであって変にブレーキを掛けるような事を言わないでもらいたいものだ。


由乃の謎。本物の我妻由乃は既に死んでおり、由乃は偽者。よって金庫の認証を通ることは出来ない。１１thはそう思って勝利を確信したし、読者、視聴者も多くがそう思った。しかし実際には由乃は堂々と入り込んで１１thを殺した。このシーンこそ私が一番見たかったところである。

タネが明らかになれば不可解でも何でもない。起きるべきことが起きてるだけだ。由乃の謎の答に察しがついている人ならこれは決定打と言っても良い描写だろう。だが、そうで無いならばこれは混乱を強める、まさに不可解としか言いようのないものであろう。その絶妙なバランスが素晴らしい名シーンである。


デウスの寿命が予定よりも早く来そうになっているらしい。本来の予定は７月２８日。なんでそんな具体的予定があるのかはともかくとして、７月２８日?それはまさか、てやつですね。