大海原の小さな光

１０thの日記譲渡は却下されていた。連続通り魔の犯人で、日記所有者ではないかと思った人間を犬に殺させていたというのが事件の真相。日向は娘。あまり意外性の無い解決ではある。

日記所有者だと思しき人間を片っ端から飼い犬で攻撃していくアイディア自体は悪いものではない。むしろ自分が持っている特技を生かした立派な戦い方だ。問題はそれであたり(所有者)に全くぶつからなかったことだ。結果彼は連続通り魔殺人犯に過ぎなくなった。

他にも娘を騙すようなことを言ったり１０thは倫理的には大した悪人である。ただぽっと出の人で主人公たちとは殆ど絡まなかったせいでそれほど悪いと思えない、というか殆どストレスを感じない。


対照的に、大局的に良いことをしていようと主人公との絡みが多く、そこで良い印象が無いとストレスがたまるものである。ハッキリ言うと秋瀬或のことなんですけどね。

私は由乃という人が好きであり、そして由乃の愛する雪輝のことが好きなのである。そのためではないが、この物語の軸は雪輝と由乃との関係にこそあると思っている。秋瀬或はここをあまりにも大きく揺さぶる。そして、そんな人でありながら彼はどこか悪役、憎まれ役としては描かれていないのだ。そんな人を私はどうしても好きになれない。

彼の優秀さは認める。優秀なところまで否定するつもりは無い。日記所有者ではなく未来日記など知らなかったのにハッタリで話を合わせたり、無差別日記を封じる策を練ったり。彼の頭は大したものだと思うよ。でも、それとこれとは無関係です。


「お前は僕の友達じゃない。お前は僕の、彼女だ。」
今回の雪輝は兎にも角にもこの辺一連のやり取り。雪輝は自分で言ったこのことを「取り返しのつかない嘘」だと思っている。だが、はたして本当にそうだろうか。これを聞いた周りの者たちは皆、やっぱりな、というような反応を示している。親もそう思っている。雪輝たちのことを多少なりとも知っている者は皆そういう目で彼らを見ていたのだ。つまり、雪輝には元より取り返しのつく余地なんて無かったんだよ。

与太はさておきとして、だ。友達が少ない（だからこそ今回のような騒ぎが起こったりする）雪輝に由乃を拒む理由は無いよな。由乃は雪輝にだけはとてもよくしてくれる。そのお陰でゲームを助かったことも何度もある。反発する理由などストーカーしかない。自宅に死体が転がっていたことから抱いた自分も殺されるのではないかという危惧は、６th戦で消えたはずだし。