終物語 第1話「おうぎフォーミュラ」

エンタングルメント。

全体としては終局に向かっているが、今はまだ縺れるばかり。


ここから暫くは『終物語(上)』(以下、『終(上)』と略す。他も同様)と呼ばれる領域である。『終物語』は全部で上中下の三分冊になっているのだ。分冊、とは言うが一冊一冊は表面的にはまるで異なる話題を扱い、完結している。何れか単独で見ても良いのだ。とはいえ、『終(下)』だけは事実上のシリーズ完結作であり、それまでに描かれた全ての作品の伏線が収束するところなので、これだけは必ず一番最後に見たい。

さて、前置きの前置きはここまで。『終(上)』について。本作は連作中編ミステリーである。それは、連作中編として描かれる個々の物語がミステリーである、という意味ではない。そういう意味もあるにはあるが、それは表面的というか断片的というかそういったレベルの話に過ぎない。幾つかの物語が納められた『終(上)』一冊全体でミステリーをなしているのである。そして『終(上)』そのものも『終(下)』に向かう伏線の一つとして、言い換えればミステリーの一部として働いている。そのようなフラクタル構造がある。

この作品、私は結構好きである。このミステリーのフラクタル構造が本当によく出来ている。とても私の琴線に触れるものがある。しかし、ファイナルシーズンは他にも好きなもの、よく出来ていると思えるものが幾つもあるためランキング一位とまでは言えない。


前置きはここまで。今回アニメが扱った範囲の話をしよう。と言っても、これは見ての通りただのミステリーである。あぁ、まさかとは思いますが、殺人事件みたいな大事が起きてないからとか、登場人物の顔や詳細が分からないからとか言って、これはミステリーではないと言い出す田吾作はいないよね。そういう方は今すぐお引き取り下さい。一応、伏線が張られているのだが、それは後になれば分かるということであって、いま語るべきことではない。なんにせよ、真打は次回以降だ。

とりあえず、映像化としてはそれなりに良く出来ていたと言えるのではなかろうか。本エピソードをミステリーとなさしめる伏線、情報が幾つか削られたため、結末にやや唐突感があるが、求められるべきことはやっていると言える。私はこれの原作を初めて読んだとき、戦場ヶ原が犯人だと思った。私の母も同じだと思ったらしい。同様に思った読者は結構いると思う。こう考えてしまう理由は単純で、殆どの登場人物が今初めて出てきて、詳細な設定がまるで分っていないため犯人が誰だと言われても納得行かない、と思うからである。アニメ版はそんな原作の読者体験を反映させるように、途中で戦場ヶ原だけまとも絵を付ける。よく分かっている。それだけで全て許す、とまでは言えないものの中々のものだ。


最後に、今回の怪異について。かつてあった事態を再現した、追体験させたとも言える謎の怪異現象。そんなことがあり得るのだろうか、という反応はこのシリーズに対してはまるで空しい。しかしながら、だ。そんな怪異が都合良くあの時あの場所にいて全てが終わったら帰ったというよりは、怪異の正体は扇の仕業だと考える方が自然だろう。ここまでのシリーズの流れを踏まえれば。けれど、それはそれで不可解なことでもある。ここまでの作品を振り返ると扇は、人を洗脳したり掌の上で踊らせたりして、人々の挙動を操ることに長けており、そういう怪異なのだと思える。このような直接におかしな現象を起こしたりはしなそうだ。一体、どういうことなのか。これは考えておく価値のある問いである。
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