fc2ブログ

仮面ライダーゴースト 第1話「開眼!俺!」

たった99日の猶予期間。

あまり斬新さとか独創性とかを強調しないところは好感が持てる。


この作品、始まる前の番宣や予告では、ヒーローは一度死んで甦る、ということを強調していました。やたら何度も見せられた気がする。しかしながら、そのようなことはさして珍しいことではない。世界最大のベストセラー『聖書』の主役たるあの男も死んでから甦っているではないか。死から甦ることで特別性を見せつける英雄など古典的なものだ。珍しくもおかしくもなんともない。実は真実甦るために戦わなければならいようで、それまでの間は随分中途半端な状態にあるようだ。こちらの方がよほど珍しい。だが、そのことは全く強調しない。奥ゆかしい。

また、戦いに使うアイテムは英雄の魂とやらで、それによって様々な能力を得るという。これは、見たところ本当に能力が変わることへのエクスキューズにしかなっていない。英雄と対話が出来たり、意思を乗っ取られたりするようなわけではなさそうなのだ。英雄の魂とかいう言い回しに意味があるとはあまり思えない。要するに凡庸な設定だ。これを、英雄を力にする斬新な設定、とか言ったりしない。奥ゆかしい。

かように、変に斬新だなんだと煽らない本作の奥ゆかしさは大変好ましい。クルマに乗る程度のことを斬新だなんだと煽りまくった『ドライブ』とは正反対だ。クルマに乗る仮面ライダーなんぞ前例あるっつうの。究極形ともいうべき、他人の運転するクルマに乗せて行ってもらうのが事件現場に赴く基本スタイル、という奴ですらいた。だというのに「クルマに乗るとは何て斬新な仮面ライダーなんだ」て風潮が出来てたのは呆れて声も出なかった。


本作の真実斬新な点、九十九日間に十五個のアイテムを集めねばならないということ。この期限付き道具収拾について少々。主人公本人は、そういうことは最初に言え、と怒っておりましたが、いやいや、これは十分フェアな範疇ですよ。真にたちが悪い輩や間抜けな奴は、時間が残り一週間だの三日だのとギリギリになってから、場合によっては集めるべき量も結構残っているのに言い出すものです。そういうのに比べれば初日の内に言ったんだから遥かに良心的ではありませんか。

大体、本当に最初の最初、生き返りたいかどうかを問うている辺りで言っていたとしても彼本人に選択の余地は無い。引き返す道も無ければ、より良い選択を探すことも出来なかった筈だ。事実上この展開以外無いも同然であり、文句を言うのは的外れ、ナンセンスだ。

とまぁ、主人公の言動へのつっこみが増えたがそこはさておき。この手のアイテム集めはニチアサでは『プリキュア』シリーズが好む分野で『ライダー』ではあまり見られない。それに何れにせよ、時間制限付きとは珍しい。そして、この時間が九十九日というのはいかにも狙い過ぎな数に見えるが、四十九日みたいな死に関する定番の数字ではない辺りが良いです。世の中、人間の考えた設定にそう上手く沿っているわけがない。


本作のいっそ清々しいけれど気がかりな点は、仮面ライダーゴーストという名前です。仙人は変身アイテムを渡すとき、ごく当然のように一気に仮面ライダーゴーストといった。あまりに自然に流したので“仮面ライダー”という分野があってその中にゴーストという個体名のものがあるのではなく、仮面ライダーゴースト全体で一つの固有名詞のように思える。というか作中人物の立場ならそう思う筈だ。

ということはだ。本作における“仮面ライダー”はあの力もしくはそれを使う者の名前の一部分でしかない。力そのものに善悪は無いわけだから「仮面ライダーだから善良な行動をしなければならない」更には「だから、それに反するお前は仮面ライダーではない」みたいな発言は根本的に封じられている筈だ。もし、この辺をまるで気にせずこの手のネタをやってきたら怒る準備がある。


あと、気がかりと言えばヒロインの設定。素晴らしく頭の良い馬鹿ですね。この世のことは全て何らかの理屈で説明できる、というのは全くその通りですが、ならばその理屈部分にゴーストを代入しない理由は。科学で説明できない、というのは究極的には自分の知っている科学では説明できない、ということに過ぎない。オカルトだ何だと言って狭い見識に閉じこもるのは到底科学的態度ではない。これが科学的であることにこだわり、非常識な事態を嫌っている者の描写だ、と製作者が本気で思っているのならそちらの知性にも問題が出てくることになるので、そういうことではあってほしくないものだ。


悪の組織にはあまり魅力を感じない。この初回に限って言えば、これが最大の欠点かもしれない。しかし、それも初回故のことかもしれないと大目に見よう。それはさておき。あまり派手な悪事をしないのはもうこのシリーズでは諦めたけど、変身を待ってたのはなんでだよ。主人公が食って掛かろうとする→だが、実際戦うにはどうすれば良いのかともたつく→こうすれば良いと説明が入る→慣れない手つきで実行に移す→変身終了→怪人「お前、何のつもりだ」。何のつもり、はこっちの台詞だ。なんであんな隙だらけの状況を攻めないんだよ。
スポンサーサイト



テーマ : 仮面ライダーゴースト
ジャンル : テレビ・ラジオ

トラックバック


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

仮面ライダーゴースト 第1話「開眼!俺!」

第1話「開眼!俺!」 10年前に父を亡くしたタケルは父と同じゴーストハンターになるべく修行中。 しかし肝心のゴーストが見えないんじゃ話にならない。 街で不可思議な事件が発生。 ゴーストの仕業だと騒ぎまくる住職代理の御成。 ゴーストなんて絶対に信じないと頑なな幼馴染。 物理学やってる人は頭が固い。みたいな描写はどうかと思うぞ。

仮面ライダーゴースト 第1話「開眼!俺!」

仮面ライダーゴーストの第1話を見ました。 第1話 開眼!俺! 亡き父・龍の後を継ぎ、ゴーストハンターになろうと修業に励むタケルは肝心のゴーストが見えないでいたが、18歳の誕生日を迎えたタケルのもとに亡き父から荷物が送られてくる。 「父さんからだ!」 「先代から!?」 「もう10年も前に亡くなってるのよ!?」 「10年前の日付だ…」 小包の中に入っていた眼魂を手に...

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

11番の日記

Author:11番の日記
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
FC2カウンター
フリーエリア