大海原の小さな光

先ず、ですね。乙坂妹の見舞いに来たという知人の一人が突如豹変して妹に襲い掛かる。ここで私は思ったのですよ。そうか、能力者は妹ではなく知人の方だったのか。確かにあのマンションにいたな、と。更に付け加えるなら、最初から乙坂妹への攻撃目的で使われたのだから、妹の地面が崩れるという夢のお告げも嘘にならない。なんたる巧妙なミスリードか、という路線でも。

が、蓋を開けてびっくり。普通に妹が能力に目覚めた建物が崩れました。なんだ、それは。最初から特に捻るつもりが無かったのか、捻り過ぎて逆に捻りが無いように見える状態になってしまったのかは知らないが、肩透かし感が甚だしい結末であった。なんというか、あまりにも単純すぎて深読みした側が馬鹿を見る展開ってのがある。今回はまさにそういうお話でした。

更に言うと、サブタイにもそういう部分がある。気付かなかった幸せ、などと言われれば普通誰だって、失って初めて分かる幸せ、みたいなことを考えないだろうか。半ば強制的に変な学校に入れられて、その監視付きで暮らしているけれど、それは本当に身を守ってくれており一歩勝手に外に出れば……みたいなノリを考えないだろうか。しかし、実際にはそのような重苦しさは特に無い。“幸せ”に“気付かなかった”といえば、妹が知人たちの人間関係に気付いてなかったぐらいだ。それはそれで面白い話題だけど、わざわざサブタイにして強調するほどのことだろうか。


こうなってくるとこの作品は、意味がありそうなことを描いて特に意味が無く深読みした方が負け、という作風なのではないかという気もしてくる。野球回のあれやこれやも深みを持たせるようなつもりだったのではなく見たまんまの単純な描写だったのかもしれない。


そんなわけで、何やら急展開のようでもあるが今後のことについては深く考えないことにする。その方が楽しめそうだ。