大海原の小さな光

ついに長らく意識不明だったアセイラムが目を覚ました。しかし、何故か記憶に若干問題があるようだった。やはり表に出せないことには変わり無しか。そもそも、レムリナがアセイラムの名を使ってぶち上げてしまったこともある。スレインとしてはどうあっても今のアセイラムを表沙汰には出来ない。何より嬉しいことだろうに、こんな状況になる。本当に巡り合わせが悪い。

まぁ、一つだけスレインにとって良かったことがあるとすれば、こんな状態のアセイラムの目覚めに真っ先に立ち会えたこと、かな。今まで色んなことについて肝心なところで邪魔が入ったり、擦れ違いになったり、目を放した隙に起きたことになったりしたが今回だけは擦れ違わなかった。その結果がこれなのが報われないんだが。

本当に全くもって報われない。もう少し目を覚ますタイミングが違っていれば、あのレムリナとの結婚とか地球上での新王朝とかの話を受ける必要など無かっただろうに。しかし、現実としてそうなってしまったのであり、そうして手に入ってしまった権力を使わないわけにも行かない。たとえばアセイラムと伊奈帆との関係について理解を正すことも出来ただろうが、それはそれとして攻撃しないわけには行かないのだ。

このままではスレインがあまりにも不憫に過ぎるし、何よりスレインの内実を誤解し切っているままだろうに調子に乗られるのも不愉快なので、伊奈帆にも思いっきり痛い目にあって欲しいものである。幸いにして、という言い方も変だが見方を変えると、今のアセイラムは記憶障碍などからスレインたちの保護下に居なければならないとも言える。その意味では意識不明で生命維持装置の中にいた頃から大して変わっていないとも言える。つまり、私の期待する展開は未だ可能だろうということ。伊奈帆に対する最大級のインガオホーが必ずや来ると信じ、楽しみでならない。


現在の伊奈帆はスレインの指示を受けた複数の火星騎士によって囲まれているわけだが、物語上どうせこんなところの戦闘で死ぬとは思えないのであまり盛り上がらない。もし万が一死んだとしてもあまり望ましい流れとは言えないし。そんなこんなで今回の火星騎士。最初から出ていた透明になるカタフラクト。言っていることは科学用語を使ったりなどしてわりと尤もらしいけど、破り方はわりとベタ。こういうタイプの能力こそ直接戦闘能力が高くないといざ実際に戦うとき困るのだが、大抵の場合姿が見えないだけで話が終わってしまう。こいつもご他聞に漏れない。

その後出てきた奴は出てきたところで終わったので、具体的描写は未だ無い。とりあえず、揚陸城がごく近いところに複数建っているという光景は今までの設定を考えると非常に珍しいものであり、状況の変化が伝わってくるものではある。揚陸城といえば透明になる以外優れた能力があるとは思えない最初の火星騎士は自軍の揚陸城から援護させなかったんですかね。