大海原の小さな光

自称・神から通信アイテムを貰ったプリキュア二人。しかし、これはあくまで関係者同士の連絡用でプリキュアのことは外部には秘密だという。正体を隠すのは定番だが、ヒーロー/ヒロインが悪の組織と戦っている状況自体は有名なのに、各人の正体は知られていないというのは少し変わった話です。

正体を知られてはならない理由付けは『ドキドキ』と同じく、無用な危険に巻き込むかもしれないから。しかし、これもおかしな話です。『ドキドキ』のときは珍しく理由をつけてるということ自体を評価して、理屈が通ってないのは見て見ぬフリをしてみたが、二度目ともなると変だとしか言いようがない。敵がどれほど小さなつながりであって主人公側にかかわるものを執拗に狙ってくるというのならいざ知らず、そうでなければ正体を知ったから巻き込まれるというのは考えにくいような。巻き込むというのなら、むしろ味方にした方が危険では。実際今回相良誠司が巻き込まれた幻影帝国の攻撃はプリキュアとは全く関係無かった。

などと、揚げ足をとるようなことを言っているようだが、今回は面白かったですよ。ここ数年、民間人の前でプリキュアに変身→後でそいつもプリキュアに、という流れが連続してましたからね。序盤でありながら、本当にプリキュアの資格なんぞ全く無い、ただの人の前で変身することになり、しかもそのまま誤魔化せずにばれっぱなしというのがすごく良かった。この世界の人物、馬鹿じゃないな。自分と変身前とは別人であるかのように喋る。この話法を使ったら、見た目がどれだけバレバレであっても騙されるというのがお約束だが、これを無視するとは、やるな。


プリキュアの正体は秘密だというが、嘘が下手なめぐみはアッサリばれた。敵幹部、ホッシーワは自分が誠司に襲われたのだと騙そうとしたが一瞬でばれて、うそつき、とバッシングを受けた。最後に、プリキュアに協力することになった誠司は、プリキュアの正体隠蔽をフォローしてくれるという。嘘や隠し事はよくない、みたいな分かり易いテーマが導かれそうで導かれない話である。そもそも、正体を隠して戦うヒーローって時点でこの分かり易い道徳は本来使用不能なわけですし。その辺に対するアンチテーゼだったのかも。嘘です。


そして、私にとってある意味本題。恋愛禁止令。それ自体は大して問題ではない。昔から言うだろう、障害があるほど恋は燃えるものだって。また、こうも考えられる。約束は破るためにある、障害は取り除くためにある。真に恋愛関係になる者がいたとするならば、こんな取り決めは破り捨てるものでしかあるまい。なのでこの取り決め自体は、偉大な先輩方の何人かに喧嘩を売ってるように聞こえなくもないことを除けば、それほど忌避感は無い。

これで考えなければいけないことがあるとするならば、それは製作者がどんな意識を持ってこんなことを言ったか、だと思うね。製作者が実際真面目であるならば、先に言ったように恋愛関係を出してその障害として働かせるだろう。もし製作者が不真面目なら「プリキュアに恋愛は一切無い」と言い張るためのアリバイ工作としてしか使われないであろう。それは本当に、面白くもなんともない。私としては製作者が真面目であることを心の底から望む。


今回の記念企画はパッション。本当に担当が読めないな、と思ったが戦闘中の変身チェリーフラメンコが非常に赤くて、パッションがどうのとも言っていたのでネタとしては相応しい、のか。この理屈で言った場合、次回は明らかにプリンセスの話で、今回手に入れたシャーベットバレエのカードも明らかにプリンセス向きっぽい色合いのことから、戦闘シーンではプリンセスがこれを見せる可能性が高く、そこからビューティ、ダイヤモンドあたりかな。或いは意表をついて転校生つながりの、ブロッサム、ビート、ソード。