大海原の小さな光

実態なき部活“極東魔術昼寝結社の夏”が昼寝部として実態があると言い張るために他校と勝負をするもそのために六花が、負けたら部は解散する、などと抜かしたため大変なことに、みたいなお話。とにかく、何から何まで、よくこんな穴だらけの話を考えたものだと言わずにはおれないほどつっこみどころだらけ。先ず、そもそもの問題として、解散は定番の「負ければ廃部」パターンのように学校との間に交わされたものではなく、六花が勝手に相手校の選手との間に行った口約束に過ぎない。そんな約束にはどこにも何の強制力も無いのだから、解散する必要は全く無いし、しなかったところで本来相手は何も言えない。

更に言えば、この部が存続しなければならない理由がどこにも全く無い。作中、学校の一部としてもこの異様な部は何もしていないわけであるが、冷静に考えると作劇の都合としても学校のクラブ活動という体裁を持つ必要は全く無い。今回の昼寝部としての活動がいみじくも示すように、この作品は主要人物が集まって暴れていればそれで良いのであって、それに部活という枠組みはまるで関係ないのである。もし部が無かったところで主人公たちの状況は大して変わらないだろう。つまり、相手校は典型的「遊びで昼寝部を名乗っている」サンシタが潰れて一瞬溜飲が下がる以外にメリットは無く、主人公側は全然デメリットが無い。この賭けは本質的に無意味である。

そして、昼寝部として解散していないということは、つまり今後は昼寝部として行動をしなければやはり廃部になるということである。要するに彼らは、六花の口約束など全く関係なく真面目にやらなければ潰されるのだ。にもかかわらず、目の前の勝負に勝ったらそれでめでためでたし、と言わんばかりにまた今までどおり遊びほうけ、それで日常が戻ってきた、みたいに描く。頭が悪すぎて言葉が出ない。

はぁ、イマイチ原因不明瞭に、それこそ夢か現か分からなくなる風に勝ったけど、負ければ良かったのに。対戦相手は間違いなくその道に対して真面目だったのであり、こんな輩にこんな展開で負けたのが哀れでならない。


今回は中二病だのなんだの関係なく、単純に頭が悪いお話でした。製作者の頭が。そして、執拗に話の進展というか、状況の変化というかを拒んでいることが改めて分かったお話でもある。